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●学年クラスの近況【昭和27年度卒業】 2022年12月19日 掲載

祖父が貰った東條英機からの表彰状(昭和27年度卒業 小宮山 肇)
 表彰事案の内容は、昭和十六年九月の大型台風接近で静岡県他の漁船が八丈島末吉の港沖に避難したが、激しい荒波で船団は座礁、沈没し、遭難者56名、死者12名を出す海難事故となり、これら遭難者を収容した事案であった。
 その約1ヵ月後「御正台」(ニショウダイ)の岸壁の洞窟の奥から人の叫ぶ声を近くで操業していた漁船が聞いたことから、遭難者がいるのではないかということで救助活動を行なうことになった。しかしこの危険な救助作業に多くの人がしり込みした中で、祖父は自らこの作業を買って出、一人、命綱を付け洞窟の奥へ入り遭難者を救助した。祖父の話だと、その洞窟は通常は海面に隠れて見えないが、干潮時には海面が下がり洞窟が見える状態になる場所だった。中に入ると奥は広い空間になっており、玉石が敷き詰められた平坦な広場になっていた。
 遭難者は難破船から流れ着いた玉ねぎを食べ、生き延びていた。私も中学校、高校時代にこの洞窟のところを泳いだことがあるが、暗く不気味な場所だったことを覚えている。この事実を知る人は今は存在しないが、祖父の勇気ある行動は当時、話題になったそうだ。
 この表彰状を交付したのは、財団法人警察協力会会長、「東条英機」で第二次世界大戦の陸軍大臣、内閣総理大臣を歴任、終戦後A級戦犯として処刑された。
 当時の財団法人警察協力会は明治三三年設立され警察活動に協力、援助した者に対する顕彰を行った。現在は「公益財団法人警察協会」として千代田区三番町に所在している。そして警察活動に協力、援助したために被害を受けた民間人、及び警察執行務に当たり災害を受けた警察職員並びにこれら遺族に対する救助活動を行なっている。一九五五年(平成七年)オウム真理教団テロで狙撃され、一命を取りとめた警察庁長官、国松孝次も当協会会長を務めている。

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